423.新潟日報 2023年7月10日 
  倒れた竹の撤去量 想定の4倍となる1200トン、処理費用も破竹の勢いでかさむ
   22年末に大規模停電の新潟佐渡市、竹林整備や再利用進まず課題に

2023/7/10 17:40  

 2022年末、新潟県佐渡市内の広範囲で起きた大雪による停電の原因となった倒竹の処理が、佐渡島内で進められている。市が個人敷地の竹の撤去用に設置した11カ所の臨時集積所には、想定を上回る量が持ち込まれ、処理コストがかさんでいる。山間地の竹林では、近くに電線がありながら、伐採や撤去が行き届いていない私有地があるなどの課題も残る。市は、竹の生育は早く、行政でできる範囲は限られていることから、竹林整備への住民協力を呼びかける。

 昨年12月の大雪で、佐渡市内では倒木や倒竹が道路をふさぎ、電線に倒れかかるなどして、最大約7800戸が停電。停電が9日間に及んだ地域もあった。
 多くの倒竹は個人の敷地内で発生した。被害が広範囲で、市に対して、撤去などへの支援を求める要望が市民から多く寄せられた。このため、市はことし2月、伐採した竹の臨時集積所を設置した。

 市防災課によると、当初は、300トンほどが持ち込まれると想定していたが、4月末までに約4倍の1200トン(推計)もの竹が集まった。同時に処理費用がかさんでいる。もともと約3800万円を予算計上したが足りず、6月の補正予算でさらに約6千万円を確保した。
 佐渡市目黒町の「佐渡緑のリサイクルセンター」には、6月だけで設立以来最多となる約120トンの竹が持ち込まれた。竹は細かく破砕し、肥料や防草材などに再利用する。

 ただし、持ち込まれた量が多く、処理が追いつかない。また、リサイクル後の肥料などの需要は少なく、活用しきれていないのが現状だ。

 市が倒れた竹の撤去に注力する一方、適切に管理されない竹林対策も課題になっている。
 竹の成長は早く、電線が架かる道路沿いを伐採しても、翌年、新たな竹が伸びる場所もある。土地所有者が高齢化したり、島外にいたりして放置され、竹林が荒れる原因になっている。
 佐渡市農林水産振興課によると、個人所有地にある樹木や竹は、災害対策などとして行政が伐採するのは難しい。このため、農林水産振興課は「島内のインフラを守るため、地域で協力して竹林の整備を進めてもらいたい」としている。