919.熊本日日新聞 2025年06月23日
    菊池農高の研究グループが表彰〝10冠〟 竹資源活用で地域課題解決
      竹チップを生ごみと混ぜて堆肥化

6/23(月) 9:15配信 


ドミノ・ピザのマーティン・スティーンクスCEOと記念撮影する菊池農高の研究グループ
=5月23日、菊池市(熊本日日新聞)
 放置竹林問題を研究する熊本県の菊池農高のグループが、竹資源の活用を通して地域課題の解決に一役買っている。行政や企業の基金などが主催する環境や農林業に関する表彰を相次いで受け、2024年度だけでも10の賞に輝いている。

 5年ほど前から始まった研究活動のきっかけは、生徒らが農作物の鳥獣害被害の原因を探る中で、放置竹林問題に行き着いたこと。これまで干しタケノコへの加工に加え、門松や竹灯籠の制作で竹資源を活用してきた。研究グループには毎年、2~3年生の10人ほどが在籍している。

 24年度の活動の中心は、家庭でも手軽に生ごみを堆肥化できる「段ボールコンポスト」の普及だった。伐採した竹からチップを作り、生ごみと混ぜて堆肥化。できた堆肥を使って野菜の栽培も実験した。イベントで地域住民に向け、使い方の講習会を開いた。

 また、昨年8月には同校生徒と、メンマを生産する地域の林業者グループや地域のNPO団体らで「竹資源ネットワーク」を結成。同校からグループに原料を提供するなどしてメンマの原材料の不足を解決し、安定供給につなげている。

 全国各地で研究成果を発表し、24年度は熊本県くまもと環境賞奨励賞や森林づくり全国推進会議会長賞などを受賞。宅配ピザ大手のドミノ・ピザジャパン(東京)は、農林水産業の課題解決活動を表彰する「産直ドミノ基金アワード2024」で、同校の研究グループを全国35団体の中から最高賞のCEO特別賞に選んだ。

 5月23日には同社幹部が同校を訪れ、マーティン・スティーンクスCEOは「若い世代が関わっていることが重要。若い人が加わらなければ、活動が終わってしまう」とたたえた。

 3年の渡辺悠慎さんは「地域が笑顔になる社会を目指したい」と感謝。2年の小島幹大さんが「タケノコのピザ開発にも挑戦したい。ドミノのメニューに加えてもらえるよう頑張る」とPRすると、スティーンクスCEOも笑顔でOKサインを出した。

 研究グループは本年度、コンポストの改良を重ね、商品化を目指す。生徒たちは「消費者にとっては、コストパフォーマンスも大事。市販品と比べた良さを数値で表し、さらなる普及を目指したい」と意気込む。(志賀茉里耶、林田賢一郎)

6/23(月) 9:15配信 熊本日日新聞