425.京都新聞 2023年7月14日 地方版
   京都の竹林に天狗の巣? 竹枯らし、名産のタケノコや工芸品ピンチ

2023年7月14日 15:30 

 てんぐ巣病にかかり、うっそうと葉を茂らせる竹
 通常の竹
 京都府の乙訓地域の放置竹林を中心に近年、カビによって竹が枯れていく「てんぐ巣病」が目立ち始めた。発症した竹を処分する以外に抜本的対策がなく、感染拡大が懸念される。良質な竹林は特産品のタケノコ栽培、工芸品の材料、観光資源として欠かせないだけに、関係者は気をもんでいる。

 府京都乙訓農業改良普及センターによると、てんぐ巣病はカビの一種が原因で、感染した竹はホルモンバランスが崩れて枝や茎が異常に密生する症状が現れる。葉の触れ合いや雨滴によって感染が拡大する。ハチクやマダケが感染しやすく、徐々に枯れるという。

 同センターで乙訓地域2市1町を担当する栗田秀樹さん(58)によると、約2年前、タケノコ農家から「長岡京市内で竹林の一部が枯れているので見に来てほしい」と相談があった。センターの顕微鏡で葉鞘を調べると、全国的に広がっているのと同種のカビ胞子を確認。同市のほか、大山崎町内でもみられたという。

 乙訓2市1町や各市町農業委員などでつくる乙訓都市農業振興協議会(事務局・同センター)は昨年末、農家向けに注意を呼びかけるパンフレットを作成・配布した。栗田さんは「感染スピードは決して速いわけではないが、注意が必要。発症した竹が放置されるなど竹林管理が行き届かなるとまん延しやすいので、対策を呼びかけたい」と語る。