519.名古屋テレビ 2024年2月23日
   SDGsな「竹取プロジェクト」三重・桑名市で進む
     "名古屋めし"の有名店も参加

2/23(金) 17:37配信  
 三重県桑名市にある竹林。かつて桑名市は、タケノコの産地として栄えました。しかし今、この竹林をめぐり大きな課題に直面しています。


 「農家の高齢化などで整備する人が少なくなりました。それによって"放置竹林"が増えてきて、いろんな問題が出てきました」(桑名市農林水産課 稲田陽介主査)
 
 現在、桑名市には竹林が660へクタールあり、そのうちの1割はタケノコの生産に使われ、農家により管理されていますが、残りの9割は、整備が行き届かず放置され荒れ果てた状態になっているといいます。

 「竹は10年前後で枯れていきます。枯れると2~3年で倒れていきます。それが積み重なって、どんどんひどくなっていく」(「桑竹会」酒井重信理事長)

 放置された竹林は、枯れて倒れた竹などで足を踏み入れることができない状態に──
 
 こうした放置竹林によってここ数年、土砂災害や獣害が増えてきているといいます。


桑名市農林水産課 稲田陽介主査


協議会の様子
土砂災害を誘発することも

 「豪雨があったときに土砂災害っていうのがあったが、だいたいが放置された竹林が滑って土砂崩れが起きているということがあります。また獣害は、イノシシやサルの被害が本当に増えてきましたので、だいたいの住み家というか潜伏するところが放置された竹林」(桑名市農林水産課 稲田陽介主査)

 現在、週に2回、地元の市民団体が竹林の整備や竹を活用する取り組みを進めています。

 整備では、まず竹林に入れるよう倒れた竹や落ち葉などの掃除から始め、間伐を行い、切った竹は板にするために加工したり、粉砕したりしています。

維持管理が難しい竹林

 「木漏れ日が当たるような竹林、傘をさして歩ける竹林が理想だと思います」(「桑竹会」酒井重信理事長)
 
 しかし、竹は生命力が強いため整備をしても維持管理が難しく、人手が足りていないといいます。

 「竹林は3年放っておくとまた元に戻ってしまうので、毎年少しずつやることが非常に重要になってきます」(「桑竹会」酒井重信理事長)
 
 そこで桑名市が、放置竹林の問題を解消しようと2016年に立ち上げたのが「桑名竹取プロジェクト」です。
 
 その後、地元の企業や高校・大学など、様々な機関が協力し、公民連携という形で竹林の整備だけでなく、竹を使った商品を開発するなど、事業化を目指して活動しています

豊富なアイデアで商品開発

 「放置竹林を無くすには、まず竹の活用を考えた方がいいのではないかということで最初はスタートしています。今すぐできることは何かということで、食品だったり建築資材だったり化粧品など、いろいろなアイデアがあるので活用していきたい」(桑名竹取物語事業化協議会 蛭川泰好会長)

竹を利用した「竹ボールペン」


桑名産の竹を使ったメンマ

 これまでに開発したのは、竹を使った名刺入れに、中学生のアイデアから誕生した竹ボールペン、竹の成分を使った保湿クリームなど。
 
 また、桑名市にある柿安シティホールでは天井に竹細工を施し、壁や階段の装飾にも竹を使用。

 ホールの入り口にある机や椅子も竹で作られたものです。さらに、食品部門では、あの"名古屋めし"の有名店も商品開発に取り組んでいます。

メンマ作りを手がけるのは初

 「『矢場とん』さんには、桑名産の竹を使ったメンマの制作を進めてもらっています」(桑名市農林水産課 稲田陽介主査)

 味噌カツで知られる「矢場とん」が参加。作っているのは、タケノコの水煮やメンマです。
 
 「何か桑名の名産になるようなものが作れればと思っ
て、参加させてもらいました」(矢場とんホールディングス 鈴木拓将代表取締役)

 矢場とんがメンマ作りを手がけるのは初めてのことで、形になるまで約3年かかったといいます。

 「筋が多かった。メンマは9割くらいが中国産。日本の真竹は強いので柔らかくなるまでにすごく時間がかかる。日本の竹でメンマを作るのがこんなに大変だったということは今回初めて知りました。ゆくゆくは桑名ラーメンみたいな名物が出来ていってそこにはメンマがあって、ハマグリや竹炭の麺などが入ったラーメンができて、桑名の名産になっていったらいいんじゃないかなと思っています」(矢場とんホールディングス 鈴木拓将代表取締役)

「経済として回っていくように」
 様々な分野で進められる竹を活用した取り組み。しかし、竹林を整備する担い手の育成などまだ課題は多いといいます。

 「この事業は竹に価値を持たせて循環させたいということなので、担い手育成と出口戦略、同時に進める必要があると考えています。竹を資源として活用する方が増えて、それが経済として回っていくような形、そういったものを実現したい」(桑名市農林水産課 稲田陽介主査)

(2月23日15:40~放送 メ~テレ『ドデスカ!+』より)

最終更新:2/23(金) 17:37 メ〜テレ(名古屋テレビ)