537.神奈川新聞 2024年3月18日
   荒れた竹林の整備、お任せあれ
     神奈川・伊勢原の国文化財住宅30代目当主が奔走中

3/18(月) 6:01配信 

 荒れた竹林を整理、間伐した竹を現地でチップ化する「梅鉢TMC」
(同社提供)(神奈川新聞社)
 持ち主の高齢化、後継者不足で管理が行き届かなくなった竹林の整備・再生を専門としている伊勢原市内の企業が注目を集めている。県内外からのオファーで忙しく飛び回る「梅鉢TMC」(同市西富岡)の小澤孝康代表は「50年後の孫世代までに竹林全てを時代に合わせて整え、いい景観と土壌を残したい」と意気込む。

 小澤代表は、明治期に建てられた国登録有形文化財「小澤家住宅」(同)で知られる小澤家の30代当主。自身も約千平方メートルに及ぶ竹林を受け継いだが、手入れは幼少期から父に学び、担ってきた。そのため「周囲の竹やぶは荒れ放題。同世代で整理をしている人がいない」と、2020年に竹林整理専門会社を仲間と起業し、家紋を社名に冠した。

 受け継いだ竹林手入れの教えは「古くなった竹を切り、1・5メートルほどの間隔で残す」。日差しが入らないと中央から根が弱っていくという。程よい間伐が施された竹林は活力を取り戻し、深くて丈夫な根を張り、地盤も固まる。代々受け継いできた小澤家住宅はそうやって国の文化財となった。「関東大震災の際にもこの一帯は柱が若干傾いた程度で、被害はなかったと聞いている」。震災被害が懸念される今だからこそ、竹林管理の重要性をアピールする。
最終更新:3/18(月) 6:01 カナロコ by 神奈川新聞