544.中國新聞 2024年3月25日
   25歳元会社員、「竹活」始めました 岩国で家族と起業
    「里山のやっかいもの」伐採請け負い活用

3/25(月) 16:56配信 

東谷さん(中国新聞社)
 山口県岩国市の元会社員東谷まどかさん(25)が家族と起業し、人の手が行き届かなくなった竹林の管理に取り組んでいる。無料で伐採を請け負い、カキいかだ用の資材や園芸用の土壌改良材に加工する。「竹活」と銘打って伐採などの体験イベントも開き、里山のやっかいものと向き合う。

 同市廿木(はたき)の山に竹林が広がり、隙間を縫うようにスギがまばらに生える。一帯の山の所有者は福岡県に住んでいる。東谷さんがチェーンソーで竹を切り倒す。「竹はとても成長が早い。スギの生育を妨げている」。カキいかだの材料用に長さ11・5メートルに整え、母の武内和恵さん(58)とロープを使って運び出す。

 切り出した竹を60本集めると、カキいかだの材料として廿日市市の業者に引き取られ、4万5千円の収入になる。実家が持つ山林と別の所有者3人から依頼された隣接の山林の計約2・25ヘクタールで活動。父の浩さん(66)やアルバイト3人も交代で作業に加わる。

 東谷さんは岩国商業高を卒業後、地元のメーカーに就職。体調を崩して休職中、マーケティング業も営む和恵さんから「社会課題がビジネスになる」と助言されたのが起業のきっかけになった。幼い頃にタケノコ掘りに行った親戚の山で竹林が広がり、荒れてしまった現状を聞き、再生を仕事にしようと決めた。

 父母と資本金300万円を出し合い昨年10月、株式会社たけふぁむを設立。放置された竹林の資源化を進める団体の講演会に参加し、竹林問題に長年取り組む専門家の指導を受け、竹林が土砂災害の原因になることや活用策を学んだ。県の外郭団体の補助金を受けて竹の粉砕機を購入。今年2月に新規事業として土壌改良材の加工販売を始めた。

 交流サイト(SNS)などで情報を発信し、竹林を伐採するイベントをほぼ毎週末に開く。これまでに県内外の約20人が参加した。より裾野を広げようと、4月からタケノコ掘りの体験会を開く予定だ。
最終更新:3/25(月) 16:56 中国新聞デジタル