674.あなたの静岡新聞 2024年8月20日
“厄介者”の放置竹林…レッサーパンダが「いただきます」
静岡・日本平動物園が用途ない葉を活用 飼料の安定供給に
8/20(火) 7:52配信
竹の葉を食べるレッサーパンダ
(日本平動物園提供)((静岡新聞社))
放置状態の「放任竹林」が拡大傾向にある静岡市内で、伐採した竹の葉を市立日本平動物園のレッサーパンダの飼料に活用する取り組みが進んでいる。環境保全や飼料費の削減に加え、竹の葉に新たな価値を創出する「地産地消」の好循環で地域課題解決を図る。
市によると、竹林は清水区を中心に造成されてきたが、近年は安いタケノコの輸入や所有者の高齢化などで放置される例が増え、生物多様性の低下や防災面への悪影響が懸念されている。市内各地でボランティアを中心とした100以上の団体が伐採を行っているが、葉は用途が少なく、焼却や廃棄されることがほとんど。処分方法は各団体の悩みの種だった。一方、動物園側は餌としての竹の葉を県外から購入したり飼育員が園付近の竹林で伐採したりして工面している。飼育員が伐採作業に忙殺されるとレッサーパンダの生態研究や飼育環境向上に費やす時間が取りにくくなるため、動物福祉の観点からも課題になっていた。
課題解決に向けて動いたのは同市のNPO法人「BASSplus(ベースプラス)」(知久昌樹代表理事)。同法人を含む竹林整備団体が葉を安定供給する「レッパーくんのもぐもぐサポートプロジェクト」を策定。市が市民団体と社会課題を解決する「協働パイロット事業」に応募し、6月末に事業採択された。同法人が窓口役を担い、葉の搬入量や日程の調整、参加団体募集を担う事業を2025年3月まで実施する。
これまでも伐採した葉を動物園へ任意で持ち込む団体はあったが、頻度や量が不規則だった。浅沼由紀乃理事(36)は「竹を伐採する団体、動物園双方に利点があり、環境保全にも貢献できる。将来的には、民間主導で持続可能な運営をしたいので、企業協賛も呼びかけていく」と意気込む。
市は事業を通し、放任竹林問題の認知向上も狙う。環境共生課の担当者は「日本平動物園は家族連れを中心に利用者が多い。取り組みを知ってもらい、放任竹林の現状に関心を向けてほしい」と期待を込める。
<メモ>レッサーパンダの主食は竹の葉で、現在7頭を飼育する日本平動物園では1日当たりの必要量を約10キロとみている。竹の葉は自由に食べられるよう園舎に常置しているが、海岸付近で塩分を含んだ葉や若い葉は好まない傾向もあるなど、食べっぷりは個体差や季節によって違うという。飼育担当者はプロジェクトを「野生下の食習慣からも竹の葉に代わる餌は考えにくいため、安定的に供給されることはありがたい」と歓迎し、「(竹の葉は)ゾウやヤギも食べるため、園として搬入量が多くて困ることはない」と他用途の活用も視野に入れる。
静岡新聞社
最終更新:8/20(火) 9:46 あなたの静岡新聞