773.毎日新聞 2025年01月28日
「厄介者」をイカの「ゆりかご」に 産卵場所にコサンダケ活用
1/28(火) 18:00配信
コサンダケのイカシバに産み付けられたアオリイカの卵
=鹿児島県阿久根市で2024年5月10日、阿久根市提供
繁殖力の強さから「厄介者」ともされるコサンダケ(ホテイチク)をイカの産卵場所に活用する取り組みが、鹿児島県阿久根市で始まった。同市や北さつま漁協(同市)が2024年5月、同市晴海町の阿久根新港沖堤防付近にコサンダケを組んだイカシバ(イカの産卵床)を沈めると、すぐアオリイカが寄りつき、宝石のような卵が産み付けられた。有用性が認められたとして5月に沈められる予定だ。
コサンダケは直径5センチ、高さ10メートル前後になる中形の竹。春の味覚とされるタケノコ「モウソウチク」などより収穫期が遅く、アクを抜かずに食べられる特徴があり、成長すると釣りざおにも利用できる。ただ繁殖力が強いという特徴もあり、放置するとすぐに一帯を覆い尽くしてしまう。
北さつま漁協などは産卵期の毎年5月、杉や雑木で作ったイカシバを海に投入してきた。杉などでは産卵床となる葉が長持ちするが、イカシバが水になじむまではイカが寄り付かない問題があった。
一方のコサンダケは葉は長持ちしないが、すぐにイカが寄り付く。そこで、杉や雑木のイカシバとコサンダケのイカシバを交互に設置し、7月まで続くイカの産卵の機会を増やすようにした。
民有地のコサンダケ約200本を切り出し、杉や雑木約500本も用意。それぞれ、北さつま漁協青年部や市環境水産課でイカシバにし、海に沈めた。
北さつま漁協の新町昭久・指導共済課長補佐は「杉や雑木の調達にはお金がかかり、コサンダケを活用できれば助かる。産み付けられた卵も多かった」と喜ぶ。
阿久根市に事業アドバイスをする「たからのまちマネージャー」の1人で、海の分野を支援する水産会社長、上田勝彦さん(60)=元水産庁職員=は「安定した利益をもたらすイカの漁獲量維持は漁師にとって死活問題」と語る。
「今回のイカシバの効果は、1年ほどたってイカが成体になればはっきりする。増えすぎた竹を切ることで資源が循環し、地域が豊かになれば」と期待を寄せた。【梅山崇】
1/28(火) 18:00配信 毎日新聞