845.Yahooニュース 2025年04月17日
   【京都市西京区】京都西山流!
   たけのこを掘り続けて55年の名人技が圧巻 収穫祭でたくさん掘れたよ

4/17(木) 17:31 
ほとんど顔を出していないたけのこの頭を見つけると、専用のたけのこ鍬で周りの土をすばやく掘り起こし、土中の根っこに狙いを定めると、さっと突き刺しテコを入れます。にょきにょきっとたけのこが顔を出したかと思うと、ぽこっと放り出されました。その度に「うわっ! すごーい、動いてる、動いてる」「オー、こんなことあるの」と歓声が上がります。

わずかながらの傾斜を見極めて、鍬に向いてる方角から突き刺すのがコツなのだそう。そんな西山流ともいわれる名人芸を披露してくださったのは、上田博さん(75歳)です。たけのこ農家として55年に亘って、たけのこを育て、掘り続けてきたといいます。2025年4月16日に行われた「竹の塾」の収穫祭でのことでした。

今年は、続いた寒さの影響でたけのこの生育が遅く、各種メディアでも収穫高が例年の三分の一になる不作と報じられていますが、上田名人のおかげで、持ち帰れないほどのたけのこが掘り出され、参加者はみな大満足でした。収穫には初めて参加し、京都市内で会社勤めをしているというユキノさんとナオミさんは、「結構難しかったけど、たけのこが顔を出したときは感動したわあ」「将来はたけのこ農家になりたいな」と話されていました。

上田名人によると、「一般的に出回っているものと違って、ほんまもんの白子たけのこは、もっと地中深くにある。そんなに採れるもんやない」のだそうです。以前は会社員をしながら農家を続けてきたそうですが、「雨の日も掘るのをやめるわけにいかんし、鹿やいのししに丹精込めて育てたたけのこを全部食い荒らされることもあって、防護ネットやら、対策が大変やったなあ」と長年の労苦を語って下さいました。

京都市内には約660ヘクタールの竹林面積(2021年度、京都市)があり、そのうち約420ヘクタールがこの西京区大原野にあるのだそう。。その約6割が放置竹林となっている現状です。NPO法人「京都初・竹・流域環境ネット」はこれまで、全国的にも、そしてこの京都西山山麓地域でも深刻になっているこの「荒廃放置竹林」を解決するため、洛西ニュータウンの中央緑地の竹林などで毎週ボランティアで竹林の整備を行なったり、廃棄竹林の有効活用や専門的な知識や技術を持った人材の育成など、さまざまな活動を展開してきました。

同法人がおこなっている「竹の塾」は、1年間に亘って7回の講座や敷き藁・土入れ作業、その敷き藁のために小塩地区内に自生している茅、草類を刈って、天日干しする作業など、地域環境保全に取り組みながら、上質の京たけのこを育てる丁寧な土壌づくりや定期的な竹の伐採作業、廃棄竹林の有効活用などでの実地体験を行ってきました。この日、待望の収穫作業となったのでした。

同法人の吉田博次理事長の下で人材育成に従事している物部瑳也理事は、「放置竹林問題は、切った竹をいかに利用するかが大事。企業と連携して竹炭・チップ・竹加工品などを製造したり、景観を守る竹垣・竹穂垣に利用したりと循環させながら資源を維持しています」と話してくださいました。

ちなみに、上田名人曰く、「掘り出したたけのこは持って帰ったらすぐに湯がくのがええで。ちゃんと世話している京たけのこは、根っこの固い部分の直ぐ上が絶品やからな」ということでした!

「京都発・竹・流域環境ネット」(外部リンク)京都市西京区大原野小塩町73-1 090-5057-3780


HOTSUU

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)
「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。京都西山郷土史研究家。FMおとくに86.2Radio BoozeK「京都西山サイコー」パーソナリティー。四国から大阪の元地方紙記者。京都の観光ガイドをしながら京都時空観光案内2025(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全23巻や「御祭神から読み解く京の神社の謎」「やさぐれ坊主京を創る・前田玄以の生涯」、「桂女恋唄・京都西山山麓西岡36人衆の物語」をはじめ、京都を題材にした小説なども執筆。竹の街京都から発信します。
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