885.BSS山陰放送 2025年05月10日
    全国で問題の「放置竹林」を農業に活かす挑戦
     竹害解決の糸口に…「竹炭」

5/10(土) 6:06 配信 

BSS山陰放送
全国的に問題になっている放置竹林。
もともとはきちんと管理されていた竹林が放置されることで、竹が倒れたり野生動物の住処になったり、様々な問題につながる可能性があります。
そんな放置された竹を農業に有効活用しようと取り組む男性を取材しました。

島根県出雲市斐川町。
この場所には、1ヘクタールほどの放置竹林があります。

Q.放っておいたら竹はどんどん増える?
「どんどんどんどん、横から出てくるので。あんまり密集すると竹が弱って、黄色くなったり、枯れてきたりします。」

そう話すのは、この放置竹林を2年前から整備している小松原幸二さん。
竹林のすぐ近くで農業を営んでいて、今、この竹林の竹を使った「竹炭づくり」に取り組んでいます。

竹が倒れて道をふさいだり、イノシシなどの住処となったり…放置竹林が引き起こす問題は「竹害」と呼ばれています。
竹は根が浅く、放置すると地盤が弱くなり土砂災害につながることもため、間伐するなどきちんと管理する必要があります。

コージーテラス 小松原 幸二 代表
「やっぱりその場で燃やせると竹林整備のスピードがものすごく速くなる。切ってその場で焼くっていう、それが炭になるということで。」

竹炭づくりに取り組む小松原さん。 
以前から、店舗で廃棄するコーヒーかすや卵の殻などを利用した肥料を作るなど、環境に配慮した取り組みを続けてきました。

コージーテラス 小松原 幸二 代表
「コーヒーかすっていうのは、目に見えない小さな穴が開いている多孔質で、空気が通りやすかったり、保水性があったりとか、堆肥化しやすい。コーヒー自体がすごい栄養価が高いので、それでいい堆肥にもなる」

そして、次に目をつけたのが「放置竹林の竹」でした。

コージーテラス 小松原 幸二 代表
「竹炭の特徴で代表的なのが3つあって、保水性・保肥性(肥料を保つ力)・通気性(空気を通す力)、この3つが一番大きい。
同じ炭でも、竹炭の場合は中に空洞がものすごくあって、通気性、空気を通す力がすごく優れているんです」

小松原さんは、アスパラガスをメインに果樹などを栽培する自らの農園で竹炭を使っています。

コージーテラス 小松原 幸二 代表
「保水性・保肥性があるという話だったので、まさに、根が水と肥料を求めるので、そこに上手く伸びるように。
到達したら、炭から水を吸収してくれたり、養分を吸収してくれたりするんです」

そんな農園で、今、力を入れて育てているのが「アボカド」です。

小松原さん
「出来ないかなと思っていろいろ調べたら、意外と気温マイナス3〜4度まではいけるということで」

新たなことに次から次へとチャレンジする小松原さんのもとには、様々な人が集まります。
一緒に竹炭づくりをしていた女性、大福さんもその一人。

大福ひかるさん
「耕作放棄地の利用とかそういうことを小松原さんがしているのを見ていて、一緒にできたらいいなと思って、そこから連絡をさせてもらいました」

大福さんは10年間働いた看護師の仕事を辞め、この春から出雲市内でぶどう農家を始めています。

まだ、ぶどうの木も植わっていないできたばかりのハウス。
この土に竹炭を混ぜ、土壌改良し、これからぶどうを育てます。
この場所の土は粘土質なため、竹炭などを混ぜることで空気や水が通る隙間を作ります。

大福ひかるさん
「困っていることとか親身になって、話を聞いてくださったりして、いろいろとアドバイスをいただいています」

集まる仲間とともに新たなことに挑み続ける小松原さん。
竹炭づくりのワークショップを開催するなど、取り組みの輪を広げつつあります。

コージーテラス 小松原 幸二 代表
「これからだと思うけど、少しずつ協力してくれる方とか、賛同してくれる方、増えてきていると思うので。
やっぱり食の楽しさ、農の楽しさをいろんな方に知ってもらいたい。作って買ってもらうだけの関係ではなくて、いろんなことをやりながら、皆さんに知っていただくのは大事かなと思います」

山陰放送
最終更新:5/10(土) 6:06 BSS山陰放送