904.Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2025年05月27日
【一石二鳥】“放置竹林”が“メンマ”に!?
里山の問題を解消しご当地ブランド育む取り組みにフォーカス(静岡)
5/27(火) 17:42配信
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
竹やぶをかきわけて進む2人の男性。
(鈴木 強流<ごうる>さん・26歳)
「あった!めっちゃいいのあそこ」
(井口 雄貴さん・26歳)
「あっホントだ」
見つけたのは1m50cmほどの“若い竹”。タケノコにしては成長しすぎていますが…。
(鈴木 強流さん・26歳)
「メンマを作ります」
ラーメンには欠かせない「メンマ」ですが、実はこのような若い竹から作られます。現在は、そのほとんどが輸入されていますが、なぜ、メンマを作ろうとしているのでしょうか?
全国的にも問題になっている“放置竹林”がたくさんあった何か有効活用できないかなと思ったのが“国産メンマ”。放置竹林は土砂崩れの原因にもなるため手入れが必要となりますが、2人はメンマを作ることで、それを行おうとしているのです。
“放置竹林”から国産メンマを作り地元を活性化したい。ラーメン店に認められる味を目指し、商品化に向け奮闘する2人に密着しました。
静岡・遠州の小京都「森町」。
ここで、国産メンマづくりに取り組んでいるのが鈴木強流さんと井口雄貴さん。2人は幼馴染で、ともに26歳、森町で生まれ育ちました。この日も、竹林に入ってメンマの材料となる“若い竹”を収穫します。
(取材ディレクター)
Q.「多いときで何本くらい取るんですか?」
(鈴木 強流さん・26歳)
「多い時で…50本くらい」
(取材ディレクター)
「50本」
(井口 雄貴さん・26歳)
「なかなか大変です」
竹は成長が早いため、収穫できるタイミングは長くはありません。
(井口 雄貴さん・26歳)
「放置していると普通の竹になってしまうので、取ってあげないと“放置竹林”がどんどん進んでいってしまう」
全国的にも問題となっている“放置竹林”。プラスチック製品の普及で竹が使われなくなり、管理されずに放置された竹林が増加。それが原因で…。
(鈴木 強流さん・26歳)
「森町、土砂崩れが結構多くて台風とかで放置竹林で土砂崩れになっているところも何けんかあったみたいで、やはり危ないですよね」
竹は根が浅く、横に広がりますが、適切に管理されずに竹が増えると根が密集して水を貯えやすくなり大雨の時などに地すべりが起こりやすくなるのです。
(井口 雄貴さん・26歳)
「僕たちが育った森町にも“放置竹林”がたくさんあった。自分たちの町を守ることから始めたいなと思って」
そこで2人は、5年前から放置竹林の整備を開始。鈴木さんは建設業、井口さんは美容業と、本職の合間をぬって作業を行っています。
(井口 雄貴さん・26歳)
「枯れた竹をおろして、そこから親竹を残すかたちでいらない竹をどんどん切っていく」
さらに、2人は、この活動が継続できるように、整備した竹林から生えてきた“若い竹”を活用してメンマ作りを始めたのです。
その気になるメンマ作りですが、縦に半分に切った後、節と節の間の部分を切っていきます。
それを、釜で1時間ほどじっくりとゆでたら…、湯気があがるほど熱々の状態で塩漬けにしていきます。
(鈴木 強流さん・26歳)
「熱っ」
(鈴木 強流さん・26歳)
「菌が入らないよう、熱いうちにやってしまわないと、塩加減が少ないとカビてしまう。漬けている時間が長くてもカビてしまう。ちょうどいい塩加減と時間を見つけるのは難しかった。うまくできるようになるまでは」
(取材ディレクター)
Q.「何で作り方を覚えたんですか?」
(鈴木 強流さん・26歳)
「YouTubeやネットで、他のメンマ作っている人たちの情報をみたり、問い合わせてみたり」
そして、3週間ほど塩漬けにするとメンマの完成です。簡単そうに見えますが、これまで3年かけて100回以上の試作繰り返し、ようやく形になってきたそうです。2人のこだわりは10日間の天日干し。これをすることで、食感がよくなるそうです。最後は味付けですが、これも、まだ試行錯誤中。グラム数を変えながら味を調整していきます。
(鈴木 強流さん・26歳)
「すっぱさ、どう?足りない?」
(井口 雄貴さん・26歳)
「うん、しょう油が濃い」
(鈴木 強流さん・26歳)
「うん…濃いね」「もうちょい入れてみる?5gぐらい」
細かな調整で理想の味に近づいてきたようです。
(鈴木 強流さん・26歳)
「うん。いいね」
(井口 雄貴さん・26歳)
「食感も完璧です」
そんな2人の自信作を持って訪れたのは…森町にあるラーメン店「7福神」。メンマづくりのアドバイスをもらった店主の内藤さんに、完成したメンマを試食してもらいます。
(7福神 内藤 雅広さん)
「これおいしいね」「味付け自体はいい」
(鈴木 強流さん)
「あとはダシをどうするかですよね」
(7福神 内藤 雅広さん)
「まだ進化するね」
(井口 雄貴さん)
「せっかくなら『使いたい』と思ってもらえるものを作らないと」
(7福神 内藤 雅広さん)
「努力しているというのは、かなりみえるので、最初からするとかなりおいしくなっている」「きょうの出来は…」「75点くらい…」
(井口 雄貴さん)
「だいぶ上がってきました」
2人の努力が形となって、森町のメンマ誕生へと一歩ずつ進んでいます。“放置竹林”からの2人のメンマ作りを、内藤さんはどのように見ているのでしょうか?
(7福神 内藤 雅広さん)
「森町の町おこしにもなるし、すばらしいこと。森町のブランドのメンマにしてもらえると、森町の人も喜んでくれるのではないかと思う」
災害を防ぐためにメンマを商品化させ、放置竹林を手入れするきっかけにしたい…その思いは、もうすぐ実を結びそうです。
(鈴木 強流さん・26歳)
「自然豊かな森町を、将来の子どもたちに残したいという思いが、森町の竹林から少しずつ広げていって、放置竹林をなくせていけたらいいなと思う」
さらに、この取り組みをモデルケースに、全国の放置竹林にも広がればと期待します。
(井口 雄貴さん・26歳)
「僕たちも他の人たちをマネするところからスタートだった。僕たちの活動をマネしてくれる人がでて、放置竹林が解決されていったら、すごくいいなと思う」
最終更新:5/27(火) 17:42 Daiichi-TV(静岡第一テレビ)