909.ABCニュース 2025年06月04日
    万博会場の避暑地 特徴的な「竹のベンチ」製作秘話
    陰をもとめ全58基を同じ向きで設置 「最初はベンチじゃなかった」 閉幕後は資源に

6/4(水) 17:37配信 

万博会場でよく見かける「竹のベンチ」


サーモグラフィーの計測結果 日なたと日陰には大きな差が


試作段階の「竹のベンチ」
これから梅雨や夏を迎え、暑さ対策が懸念されている大阪・関西万博。そんな中、「特徴的な暑さ対策スポット」が会場内に設置されているのをご存じでしょうか?

 万博会場を一度でも訪れたことがある方は、大きなひさしのような?背もたれのような?ものが付いた竹のベンチを見た事があると思います。
 会場内に58基が設置されているという竹のベンチの秘密を探るため訪ねたのは、制作者の日建設計・岩田友紀さん。

 岩田さんは万博会場の「静けさの森」の設計者でもあり、ほかにも舗装や照明など、建物以外のほぼすべての設計を担当しています。

 岩田さん
「今回の竹ベンチは、船をイメージして作っています。船の帆が風を受けて同じ方向に向いて進んでいく様子を表しています」。

 「船の帆」に見立てた竹で日陰を作るため、ベンチは同じ方向に向いているんだそう。

「万博期間中に一番効率よく、たくさん陰ができる角度を探しました」。
サーモグラフィーで測って見ても、ご覧のとおり効果てきめんです

竹のベンチのメイン材料は放置竹林から伐採された竹で、閉幕後は粉砕して資源にする予定。フレーム自体は残るので、新たな竹を付け替えれば再利用も可能だということです。

そして、さらなる秘密が・・・

「実はこのベンチ、最初はベンチじゃなかったんです。会場の中にできるだけ陰を作りたいという事でシェードを作ろうと思っていた。実際に組んでみて、座ってみて『これ気持ちいいやん』となってベンチになった」。

 会場内で多くの人が休憩する「竹のベンチ」。ひょっとしたら”ただの日陰”になっていたのかもしれません。

岩田さん
「万博の会場デザインプロデューサー・藤本壮介さんが、大屋根リングを『みんなで一つの空を見る』というコンセプトで作っているので、このベンチに座って、ひとつの空を見上げてほしいと思います」。

(「newsおかえり」2025年6月4日に放送しました)

6/4(水) 17:37配信 ABCニュース