908.ABCニュース 2025年06月01日
放置竹林の竹で飛距離出るゴルフボール考案 京都府舞鶴市の画家が量産の可能性探る
2025年6月1日 6:50配信
竹を材料にした練習用ゴルフボールの
試作を重ねている稲岡さん(舞鶴市内
京都府舞鶴市余部下の画家稲岡博さん(75)が、市内に多い放置竹林の竹でゴルフの練習用ボールを製作する工夫を重ねている。当初は小さな円形の板にして貼り合わせていたが、飛距離が出る竹素材の糸巻きボールに行き着いた。表面のディンプル(くぼみ)も再現する凝りよう。「舞鶴の竹製ボール」を量産できないか、協力者やアイデアを募っている。
稲岡さんは2023年、東アフリカ・ルワンダで女子プロゴルファー育成に携わる友人から、現地で不足している練習球作りの相談を受けた。
思い浮かんだのが、竹。舞鶴は府内で最も多い1350ヘクタールもの竹林があり、大部分が放置竹林とみられる。中舞鶴小の児童らにさいころやこまなど竹の玩具作りを教えたこともあった。海洋汚染につながる化学素材を減らせることも魅力だった。
試作を始めた。公認のゴルフボールは、重さ45・93グラム以下、直径42・67ミリ以上との規定がある。なたで竹を小さな円形に整えて貼り合わせ、アクリル絵の具で塗装した。プロ選手に試し打ちしてもらうと、7番アイアンで最大70ヤード(約64メートル)しか飛ばなかった。
思い悩んだ時、買い物中に見つけたのが竹素材の糸。芯のビー玉を紙粘土で包み、糸を巻き付けた。表面を竹紙と接着粘土で仕上げ、ディンプルも施した。飛距離は110ヤード(約100メートル)に伸びた。
金属球を芯にするとさらに飛ぶが、国外に持ち出す際、税関や保安検査場で不審物に間違えられる恐れがあると考え、やめた。
「舞鶴の竹で糸を作り、その糸でボールを量産してルワンダに届けたい。日本でもアマチュアや学生の練習、子どもの遊びに使えるようにしたい」という。稲岡さんは「メーカー、海外や子どもの支援に関わる人たち、放置竹林対策に取り組む人や行政と協力して実現したい」と思い描く。
石﨑立矢
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京都新聞