914.読売新聞オンライン 2025年06月16日
    放置竹林を味な食材に…幼竹から万能調味料・メンマ

6/16(月) 11:41配信 

放置竹林に入り、伸びた幼竹を切る藤本さん
(広島県尾道市で)(読売新聞)

皿に盛り付けた「尾道タケタケ」(手前)とメンマ
 放置竹林の拡大による土砂災害、獣害などを食い止めようと、広島県尾道市の一般社団法人「クルクルオノミチ」が、市内の放置竹林で採った幼竹の活用に乗り出し、商品販売にこぎつけた。パンチの利く味付けの万能調味料「尾道タケタケ」と、歯ごたえのある「尾道メンマ」だ。法人メンバーらは来年の商品作りに向け、幼竹の収穫や下処理に精を出した。(西堂路綾子)

 代表理事の藤本浩平さん(41)は同市の向島出身。東京の大学を卒業後、ウェブ関連会社を経てアフリカに移住し、モザンビークで不動産仲介や日本料理店経営、コンサルティング事業などを手がけた。第2子誕生を機に約18年ぶりに尾道に戻ると、実家近くの集落は高齢化が進み、放置竹林にイノシシなどが頻繁に出没するのが気になったという。

古里の課題解決へ
 広島県福山市の医療関係会社に勤める傍ら、課題を解決しようと情報を集めていた2023年夏、尾道青年会議所主催のビジネスコンテストを知った。「課題を共有してくれる仲間を見つけたい」と、地元の放置竹林を整備して採れたタケノコでメンマを作り、販売収益で別の放置竹林を整備する企画で応募。同年12月の発表会で「次世代リーダー賞」を受けた。

 これを弾みに24年春、商品開発に着手。友人と向島や尾道市御調町の放置竹林から、約2メートルに育ったモウソウ竹を約200キロ・グラム切り出し、約1時間ゆでて塩に漬け込み、福岡県の加工業者に送る作業を続けた。

 同年6月に「クルクルと循環する仕組み作り」を目指し、一般社団法人を設立。同年10、11月にクラウドファンディングで費用100万円を募ると、118人から120万円が寄せられた。

 「尾道タケタケ」(税込み1500円)は、スパイシーな花椒(ホアジャオ)の風味が利く万能調味料。「ラーメンのトッピングやチャーハンの具にぴったり。豆腐にのせたり、オリーブオイルを混ぜてドレッシングにしたりもお薦め。卵かけご飯はやみつきになります」と藤本さん。周囲のメンマ好きの声に応え、しょうゆ味の「尾道メンマ」(同980円)も作った。

「仲間増やしたい」
 「最も重労働」という来年の商品に向けた幼竹の切り出しを、今年も5月に続けた。休日を利用し、友人や家族と竹の運搬や下処理に奔走。藤本さんは「作るのは地域を育てる調味料。収益でさらに多くの竹林を整備し、尾道を子どもたちが誇れる古里にするためにも仲間を増やしたい。まずは味わってみて」と話す。

 「尾道タケタケ」と「尾道メンマ」は、JA尾道市の直売所「ええじゃん尾道」やウェブサイト(https://onomichitaketake.jp)などで販売している。

6/16(月) 11:41配信 読売新聞オンライン