225.中日新聞 2021年3月16日 WEB版
 「若竹にたまる水 飲料水、美容液に 金沢市と北陸大、翠星高校が開発」

2021年3月16日 05時00分 (3月16日 10時31分更新)

 開発した製品を手に笑顔の翠星高の山田真穂さん(左)、山下慎二郎さん=金沢市役所で
放置竹林拡大防止へ 年内にも商品化

 金沢市と北陸大(同市)、翠星高校(白山市)は、竹の節にたまる水を使った飲料水「CHIKUSUI(チクスイ)」と美容液「K white(ケー・ホワイト)」を開発した。15日に翠星高の生徒らが市役所で試飲会を開き、来庁者は興味津々の様子でモニターに協力した。金沢の新たな特産品として普及させ、山を荒らす放置竹林の拡大防止を目指す。 (小佐野慧太)

 竹水は、生えたばかりの若竹から六月上旬ごろに限って採取できる。ほのかな甘みと、サトウキビに似た風味が楽しめる。一本の竹から二〜四リットル採取できる。

 市は二〇一八年度から北陸大の武田幸男客員教授とともに竹の利活用の研究を行っている。とくに飲料水と美容液で需要が見込めるとして、このうち飲料水の開発について食品科学コースのある翠星高に協力を求めた。

 「CHIKUSUI」は竹水そのもののほか、梅、梅じそ、乳酸菌飲料味を開発した。生徒が毎年実習で作っているシロップを一対一で混ぜ合わせて作った。一本百八十ミリリットル入りで、二〜三倍に薄めて飲む。

 製造に関わった二年山下慎二郎さん(17)のお気に入りは、梅じそ味だ。「竹と梅の風味が混じり合っておいしく飲める」と話す。二年山田真穂さん(17)は「飲み物を通して放置竹林の問題を知ってほしい」と願っていた。

 北陸大が主に開発を手掛けた「K white」は、竹水にケイ素などのミネラル成分が多く含まれる点に注目。市内に自生する植物から北陸大が開発し、美白やアンチエイジング効果が認められたカワラケツメイ米麴発酵液を配合した。

 市内には約六百五十ヘクタールの竹林があり、このうち管理が行き届かない放置竹林が三割に上る。武田客員教授は「竹はほかの木に比べて浅く根を張るため、斜面を覆うように生えると土砂崩れが起きやすくなる。金沢の新ブランド商品として売り出し、森林環境の保全につなげたい」と話していた。年内にも商品化し、インターネットで販売する予定だ。