483.時事通信 2023年12月22日
   鉄に代わる「竹筋コンクリ」
 戦前技術に再脚光 東北の産学、実用化目指す

12/22(金) 13:41配信 

竹筋コンクリートを用いた試作品の横に立つ日大工学部の
子田康弘教授(左)ら=11月26日、福島県南会津町
 鉄の代わりに竹を骨組みに使う「竹筋(ちっきん)コンクリート」の実用化に、東北地方の大学や企業が挑んでいる。

 新たな建築資材として期待されるほか、竹林は土砂災害の原因となっており、防災面からも注目を集めている。

 竹筋コンクリートは、短冊形に加工した竹材を格子状に組んで補強材にする技術。戦争で鉄不足だった明治~昭和初期に使われ、長者滝橋(岩手県一関市)など現存する建造物にも活用された。当時の資料を参考に、日本大と東北大、山形、福島両県の5社でつくる竹筋コンクリート協議会が実用化を目指している。

 竹は短期間で成長するため周辺の家屋に被害をもたらすほか、広く浅く地下茎を伸ばすため土砂崩れの原因になる。一方で加工が容易という利点もあり、協議会に加わる山形県の建築コンサルタント会社「新和設計」の高橋明彦企画技術室長は「建築資材に生かせればという考えがあった」と話す。

 協議会が試作品を作り、強度などの検証を重ねた結果、6月に日本産業規格(JIS)を満たすことが確認された。試作に携わった日大工学部の子田康弘教授は「試行錯誤を重ねた結果、強度が低い竹材の内側を削ることで鉄筋コンクリートと遜色ない強度が確保できた」と語る。

 11月26日には福島県南会津町で、製品化に向けた実証試験も始まった。竹筋コンクリートで作った排水溝(U字溝)を約70メートルにわたり休耕田に設置。継続使用して耐久性などを確認するという。

 竹材の安定供給など課題はあるが、子田教授は「身近なインフラに当たり前のように竹筋コンクリートが使われることを目指す」と力を込める。
最終更新:12/22(金) 15:27
時事通信