531.信越放送 2024年3月10日
   
猫のトイレに竹を使った「猫砂」で消臭効果も
      …放置すれば荒廃に繋がる“困った竹”を商品化「放置竹林」解消にも一役、
       竹を使った染料インクで古着のリメイクも

3/10(日) 8:02配信 
春になると顔を出す竹。
食べるとおいしいタケノコは春の味覚ですが、ひとたび放置されると一気に生い茂り、荒廃につながってしまいます。
こうした中、竹を資源に変えるユニークな商品開発を取材しました

長野県内に広がる竹林。
南信州を中心にその面積は増加していて、その多くは整備されていない「放置竹林」となっています。
背景には地域の高齢化もあります。

大井さん:
「畑だった所が竹林になっちゃっている所が多いですね」
「その悩みをおっしゃってくる方は年配の方です。自分ではどうすることもできない。だけど、ご近所に迷惑をかける。なので、何とかしてほしい」

上田市で工務店を営む大井明弘(おおいあきひろ)さん。

東信地方や諏訪地域で竹林整備にも取り組む大井さんのもとには、荒れてしまった土地の悩み相談が寄せられます。

大井さん:
「木を使って家をつくることは、結局山を守る」
「その日本の山が竹に覆われて木が枯れ始めているっていう現状を知って、山を守るにはこの竹問題をどうにかしないと山がだめになってしまうなって」

伐採後の活用法があれば、竹林整備は進むと考えた大井さん。

その思いに共感したのが、東京から富士見町に移住してきた編集者の増村江利子(ますむらえりこ)さんです。

増村さん:
「富士見町に移住しまして、竹林整備に参加しているときに、こんなに竹がたくさんあるのを何とか出口を作れないかっていう話はずっとしたんですね」
「一緒に会社を立ち上げようという経緯になったというところがあります」

大井さんと増村さんは合同会社を立ち上げ、竹製品の開発に乗り出し、2023年10月、ある商品を誕生させました。

増村さん:
「今の暮らしの中でも使える形で、たくさん使ってあげるのがいいかなと思って」
「竹ペレット猫トイレという商品なんですが」

増村さんたちが注目したのは、猫です。

まず、伐採された竹をパウダー状にして数週間、乾燥させます。

これを加熱し圧縮。

粒状に成形すると100%竹でできた「猫砂」が完成。

これを使った「猫のトイレ」を作りました。

一般的に猫砂は、鉱物や木、紙などから作られていますが、この商品には竹ならではの良さがあると言います。

大井さん:
「竹の消臭効果がすごくて非常に家の中が臭くなくなって、逆に竹の良い匂いがするっていう反応が(多いんですね)」

100%竹からできているため、使用した猫砂は、土に還すことができるそうです。

大井さん:
「実際自分では竹を切れない。みんなが切れる環境にいるわけじゃない。だけど、これを使ってくれることによって、放置竹林の1つの活動に参加していただいていると思っていただきたいなと思っています」

大井さんたちの活動には小諸市の企業も関わっています。

一般廃棄物の収集・運搬を行う浅麓工業企業組合(せんろくこうぎょうきぎょうくみあい)は、ごみ収集からあるアイデアを思いつき、2023年9月に商品化しました。

小林さん:
「伐採した竹炭、それに酸化鉄を加えた自然由来なインクを作りました」

原料には、上田市で伐採された竹や、農家が廃棄に回した麻の茎を使っています。

竹炭を専用の機械で粉末加工し、インク製造会社に委託して染料として商品化しました。

組合では、自然由来のインクを使った古着のリメイクを提案していて、伐採された竹にも古着にも、新たな命が吹き込まれます。

小林さん:
「環境への意識を皆さんが高めていただけるよう、地域の方に啓発できれば、私たちのやる気にもさらにつながるのかなと思います」

活用が見直されている、資源としての「竹」。

アイデアと工夫で、その可能性が広がっています。

最終更新:3/10(日) 8:02 SBC信越放送