532.VAGUE 2024年3月11日
「うっとりするような使い心地……」 日本一高い!?
1本4950円の高級耳かきが品切れ続出のワケとは【匠の逸品#04】
3/11(月) 7:50配信
「名人作 虎竹耳かき」。
竹材専業メーカーの竹虎がつくる高級耳かきだ
表面に虎柄模様が浮かぶ「虎斑竹(虎竹)」を使っている
もう他の耳かきは使えない!? 「名人作 虎竹耳かき」
高知県須崎市だけの竹でつくる最高級耳かき
高知県須崎市の竹虎株式会社が、竹製の高級耳かきをつくり人気を呼んでいます。
耳かきに最適といわれる竹のなかでも、表面に虎柄模様がうかぶ虎斑竹(とらふだけ)を厳選して使用し、職人が磨きあげる「名人作 虎竹耳かき」は独特の佇まいが目をひきます。
そのお値段は、1本が4950円(税込)。しかし、高級耳かきのなかでも異色な高価格でありながら、ネットショップでは売切れが続くことも多いようです。
竹虎は、土佐湾をのぞむ高知県須崎市安和に工場をもつ、竹材専業メーカーです。明治27年(1894年)に創業した後、不思議と安和地区だけでしか成育しないという虎斑竹を専門に扱い、日用品を製造しています。
虎斑竹は名前のとおり、表面に虎柄のような模様が浮かぶ美しい竹です。それだけでなく、急斜面の谷あいでしか生育せず、明治44年の天然記念物保存法第一号でもあります。
「名人作 虎竹耳かき」も、そうした珍しい竹の製品です。何種類もの紙ヤスリを使い、虎模様をできるだけ鮮明に残しながら磨きあげるといいます。
しかし、継続して売れる人気の秘密は、珍しさだけではないかもしれません。
同社は、初代の頃から虎斑竹の保全にも関わっていますが、こうした姿勢も魅力につながっているようです。
虎斑竹に魅せられた初代が、虎斑竹を地域の宝として守るべく、山主と協力して竹林を手入れし、生産量を増やしてきたといいます。また、竹の育成に、薬剤や化学肥料などは使いません。
その虎斑竹が、職人によって切り出され、太さや模様の出方、用途別に選別された後、まっすぐに矯正され手仕事でさまざまな製品へ生まれ変わっているのです。
特に、「名人作 虎竹耳かき」は、熟練職人が丁寧に磨き、竹のなかでもかなり特別な手触りをうみだしています。また、耳かきの首の部分にわずかにカーブをつけることで、耳に当てたときに絶妙な感覚が味わえる耳かきに仕上げています。
4950円払っても惜しくない?
さらに、最高級品として持ちやすさにもこだわり、一般的な耳かきよりも太く、角を少なくつくっています。そのために、厚みのある上質の虎斑竹を厳選しているといいます。
表面に虎柄模様が浮かぶ「虎斑竹(虎竹)」を使っている
ところが、虎斑竹そのものは薄身の竹なので、そのなかで厚いものとなるととても少ないのだそう。こうしてみると、1本4950円という価格も納得できるものなのかもしれません。
さらに、今年は竹材料が少ないため、品切れ状態が続いているようです。
「名人作 虎竹耳かき」は、美しいフォルムとよくしなる首、しっかりした持ちやすさが特徴です。では、そんな耳かきをどのような人が購入しているのでしょうか。
購買者について、竹虎株式会社の担当者は次のように話します。
「ご自身でお使いになられる方も多いですが、プレゼントとして刻印して贈られる方も多いです」
実際の声をみると、使ってみたらすごくよかった、ほかの耳かきは使えない、といった感想が多いようです。
なかには、「家族が耳に入れてうっとりしていた。あんな顔を見たのは、結婚以来初めてかも」という報告もみられます。
また、「名人作 虎竹耳かき」には名前の刻印サービスもあります。
この点では、「母親にプレゼントしたところ、一生使えるし贅沢だと言われた」と喜びの声もみられます。ほかにも、「耳かきが趣味の上司に贈る」という人もいるようです。
一方で、品質の高さに感激し、「職人さんのこだわりと、使う者のことを考えて作る姿勢に感動した」といった声もみられます。
自分で使って満足する人や、誰かにプレゼントする人などさまざまみられますが、総じて次のような感想が多いのかもしれません。
「たかが耳かきと侮っていましたが、これからは極上のひと時が過ごせそうです」
※ ※ ※
竹虎の創業者は、大阪で竹商人をしながら虎斑竹の保全に乗り出しました。安和で製造を始めたのは二代目からといいますが、いまでは竹虎の製品は土佐の工芸品として知られています。
そんなメイドイン土佐の「名人作 虎竹耳かき」は、同社耳かきの最高峰として、いちどは使ってみたいと思われる耳かきなのかもしれません。
LIFE & CULTURE / OTHER 2024-3-11 writer Peacock Blue K.K.
3/11(月) 7:50配信 VAGUE