653.MRO北陸放送 2024年7月14日
森林無い自治体にも配られる「森林環境税」
494億円もの税金が使われず積み立てに
7/14(日) 9:02配信
竹の伐採に取り組む生徒
=岡山県津山市で(津山朝日新聞社)
会社から受けとった納税通知書。よく見てみると、見慣れない税金の名前が書かれていませんか?
「森林環境税」?
2024年度から始まった、新しい税金なんです。実は、2023年までは、東日本大震災の復興のための「復興特別税」として、1人あたり年に1000円が徴収されていましたがこれが終わり、実質的な負担額は変わらない仕組みとなっています。
手取りの額はそのままで、税金の使い道は全く違うものになっており、森林環境税とはどんなものなのでしょうか?
6月1日から始まった、新しい税金「森林環境税」。日本の国土のおよそ7割を占める森林の保全を目的として、1人あたり年間1000円を住民税とあわせて徴収します。
納税の義務があるのは国内でおよそ6200万人、年間では600億円もの税収が見込まれています。
「森林環境税」見聞きしたことは?
街の人「ない。緑の保全とかのイメージですかね。一般市民は分からんと思うよ、それこそ山持ってる人とかなら良いと思うけど。」
納税者から徴収された森林環境税は、国が「森林環境譲与税」として都道府県や市町村に配分。これに先行して2019年度からは、国が一時負担する形で自治体への交付がすでに始まっていました。こうした税金は、どのように活用されているのでしょうか?
森林がおよそ6割を占める金沢市は、森林環境譲与税を活用し、林業大学校の整備・強化をはかります。
2009年に開校した金沢林業大学校。高齢化などを理由に、年々減少傾向にある林業の担い手の育成が狙いですが、卒業生94人のうち、樹木の伐採などといった森林整備に携わる人は半数ほどにとどまっています。
そこで、市では、林業の知識を幅広く学ぶ「基礎コース」に加え、専門知識を持った即戦力となる人材を育てるため、2021年度から森林環境譲与税を活用した「林業専門コース」の運営を始めました。
金沢林業大学校指導員・八尾克己さん「放っておくと草が肥厚して日光を遮るので、成長の妨げになる。単なる草刈りではなく植栽した苗木を育てるための作業。きっと彼らは研修修了後は林業に携わってくれるだろうと非常に頼もしい」
専門コースの研修生「自分の家が山を持っていて山の管理をしようと。自然や森林を守る誇りを持って頑張りたい。森林組合だったり、林業に入る予定。綺麗な山を次の世代に引き継げるようにしたい」
市は、2019年度からの4年間に受けとった森林環境譲与税およそ2億2000万円を余すことなく活用し、森林組合や福祉施設と連携した障害がある人への就労支援など、16の取り組みを行ってきました。
金沢市森林再生課 吉永晃一課長補佐「森林というのはあまりに身近な風景の1つだが、実は私たち森林から多くの恩恵を受けている。飲み水や生活用水を育むもの、あるいは災害を防ぐもの、また癒しの場としての森林…こうした取り組みを地道ではあるが継続して進めていきたい」
一方、森林環境譲与税は、森林を持たない自治体にも配分されます。一体、なぜなのでしょうか?
2019年度からの4年間で、国から全国の市や町に譲与された額は、1280億円に上ります。ところが、このうち4割にあたる494億円が年度内に使われることなく、基金に積み立てられました。
街の人は「要らないんだったら集めなくていいんじゃない?税金としてお金を回収したんだったら使い切ってほしい。税金は取ります、だけどそれがどのように使われとるかっていうのが不明瞭。自分から見ないと情報は知り得ない」
税金として徴収されても、実際は活用されていない…?
「積み立てられてしまう理由には、税金の自治体への「配分基準」が関係しているんです。」
国に納められた森林環境税は、都道府県や自治体の森林の面積(55%)、人口(25%)、林業就業人口(20%)この3項目をもとに、森林環境譲与税として交付されます。つまり、森林が少なくても人口が多い都市部などでは、どうしても分配額が多くなる傾向にあります。
石川県では県内で唯一、4年間に交付された譲与額をすべて使い切っているのが金沢市。次いで、七尾市や穴水町で比較的多く使われているのが分かります。一方で、基金への積立て率がもっとも高かったのが、野々市市で78%。野々市市には森林がひとつもないんですよね。
これについて市の担当課に話を聞いたところ、「森林がないので、なかなか活用が難しい。県に相談したり、全国の自治体の事例を参考にしながら事業を練っている」としていて、今年4月からは、森林環境譲与税を活用して、県産材を使って家を建てる際の補助金を新たに設けたそうです。
さらに実は、国が進める森林環境税とは別に、石川県ではすでに県独自の森林税を設けているんです。それが「いしかわ森林環境税」。制度は2007年度から始まり、年に500円が県民税に上乗せされる形で徴収されています。実質石川県民は、森林にかかわる税金を1500円払っていることになります。
国の税金と地方独自の税金、どちらかではだめなんですか?
「いわゆる「二重負担」のような形ですが、石川県のように、すでに独自の森林税を導入している自治体は実は全国に37府県あります。これについて県は、それぞれ趣旨は異なると説明しています。」
県独自の税金は大きく分けて、
▼クマやイノシシといった野生獣が人里に出没するのを防ぐための「緩衝帯」とよばれる境界線の整備。
▼管理されずに放置された竹林の除去。
▼県産材の利用促進 といったように、ある程度使い道が決められています。
一方、市や町が使う今回導入された森林環境税は、自治体の実情に応じた多彩な取り組みを進めていくことができるという点で、より自由度が高いものとされています。
石川県白山市では、市内の小学校の新1年生全員に県産材の鉛筆を贈ったり。あとは、夏休みを利用して親子で森の恵みを体験するツアーなども企画しています。
森を整備することの大切さを知ることで、森林環境税の必要性を理解してもらうということですね。それでも、森林が少ない自治体は使い道に困りますね。自治体の担当者に話を聞くと、林業を専門に担う職員が少ない市町では、多彩な取り組みを行うだけの余力がないというのが実情だそうです。
それでもせっかく配分された税金ですから、それを有効活用するためにも、県と市町が一体となってその使い道を模索していく必要があります。市町が行う取り組みを確認できる方法はあるのでしょうか?
「全国の都道府県や自治体では、森林環境譲与税の使い道をホームページなどで掲載していて、私たちも簡単に目にすることができます。」
たかが1000円、されど1000円。私たちの森林環境税が果たして有効に使われているのか、今後、一人ひとりが注視していく必要がありそうです。
北陸放送
最終更新:7/14(日) 9:02 MRO北陸放送